(脚注)
社会学上の理論がいかほどに、どこまで証明可能かには興味があるところです。子どもたちには素晴らしい能力があるという考えを支持する多くの証拠があるだけではなく,子どもたちは本当にバカで,学ぶためには終わりのないほど繰り返しが必要であることを示す(悲観的な精神によって集められた)証拠も同じくらい存在しています。ホーソン実験は,我々はできる限り楽観的であるべきであり,子どもたちはいつも我々を救ってくれると主張しています。
特に O. K. ムーアとシーモア・パパートの仕事と思想はダイナブックを生み出した考え方に影響を与えた。子供は能動的な主体で創造者かつ探検者でもあり、一般に思われているよりもずっと知的な能力があると二人とも感じていました。
LOGO 言語は、テキスト、グラフィックス、音楽、子供たちのプログラムによって制御されるぎくしゃく動く機械仕掛けの「タートル」を実現するために(タイムシェアリングを使って)使われています。パパートの LOGO の仕事は、もしも頭文字をとってコンピュータを使った(Computer Aided) 教示 (Instruction)では無く、洞察 (Institution) や創造(Inspiration) と言ってもよいなら「CAI」と呼べるでしょう。しかし現在多くの場合、コンピュータが関係する教育はラットやハトを使った行動工学者の実験に由来する(あらかじめ)プログラムされた学習を基にしています。パパートの見方は一方で、(奇妙な事に)ほとんどが実際に子供と子供がどのように世界を捉えるかについて研究したピアジェとその仕事との交流に大きな影響を受けています。
基本的アイデアは関数とテーブル(もしくはプロセスとメモリー)の間の二重性をうまく利用するというものです。英語には名詞があり、それは「オブジェクト」に関連し、動詞があり、それは「アクター」や「話し手」に関連します。これはニュートン的認識論です。現代の物理学や哲学では、「オブジェクト」も「アクター」も単にプロセスの概念の異なる側面であるというアイデアに向かいつつあります。プロセスは状態(それに関わる一組の関連[having to do with it の訳に自信なし])を持ち、これは時間(他のオブジェクトとの相互作用として定義される)とともに変化します。この観点から見ると、「データ」とは変化の「遅い」プロセスであり、「関数」とは変化のより速いプロセスということになります。それぞれのプロセスはひとつの完全な「マイクロ」コンピューターとしての論理的な性質を持っています。つまり、インプットをとり、アウトプットを返し、ファイルシステム上のメモリーを演じ、演算を行い、割り込みを受けるなどが出来ます。「コンピューター」は他のすべてのコンピューターを(時間と空間の係数により)シミュレートできるので、言語がプロセスの概念を持っていれば、配列やレコードや再帰的手続きなどの有用なアイデアをいつでもレパートリーに加えることが出来ます。
2. Pines, M., Revolution in Learning, Harper Row, New York
3. Moore, O. K., Andersen, A. R., "Some Principles for the Design of Clarifying Educational Environments," Chapter 10 in Handbook of Socialization Theory and Research, Goslin (Ed), Rand McNally & Co. (1969)
9. Reynolds, J., "Gedanken, A Simple Typeless Language Which Permits Functional Data Structures and CoRoutines," Argonne National Laboratory Report ANL-7621, September 1969
13. Stachey, C., "Towards a Formal Semantics", Formal Language Description Languages for Computer Programming, North Holland Publishing Co., Amsterdam, 1966
14. Landin, P. J., "A Correspondence Between ALGOL 60 and Churches Lambda Notation," CACM 8, 90-101, 158-165
20. Minsky, M., "Remarks," Proc. Park City Conference on Computers in Undergraduate Education, U. of Utah, Department of Computer Science (1968), W. Viavant (Ed.)
21. Roberts, L., "Extension of Packet Communication Technology to a Hand-Held Personal Terminal," Proc. SJCC (1972), AFIPS Press